九字の切り方収め方 
煩悩や魔障一切の悪魔を降伏退散させ、災難を除く呪力があるとされる修法が、九字である。「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」を唱えながら、刀印(とういん)を結んで九字を切るか、諸印契を結印しておこなうものである。
九字を切ることで、五陰魔、煩悩魔、死魔及び一切の悪魔、魔民を切断するというような調伏的要素をもつ。つまり九字は護身法であるとともに、有力な調伏法としても活用されている。
邪鬼は陰気にたよるものとされ、それを破断するのが九字である。九字の九は、陽の最高の満ち数であるから、それによって陰を降伏させうると考えられたものである。また九字ではなく、十字を切る場合もある。
九字は流派によっての差異があるので、ここに掲げたのはその一つと言うことをご承知おき下さい。
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結ぶ印
唱える九字
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臨(りん);独鈷印(とこのいん)
左右の手を内縛(下記参照)して、二指(人差し指、以下このように言う)を立て合わせて「臨」と唱える。
兵(ぴょう);大金剛輪印(だいこんごうりんのいん)
内縛して二指を立て、中指を伸ばして二指の上を越えて合わせる。親指は揃えて「兵」と唱える。
闘(とう);外獅子印(げじしのいん)
者(しゃ);内獅子印(ないじしのいん)
皆(かい);外縛印(げばくのいん)
陳(じん);内縛印(ないばくのいん)
烈(れつ);智拳印(ちけんのいん)
在(ざい);日輪印(にちりんのいん)
前(ぜん);隠形印(おんぎょうのいん)
以上のように九印を結んで九字を唱えたのち、
左の人差し指と中指を伸ばし小指を曲げ、親指の指先で曲げた指の爪を押す。右手も同じようにする。右手の伸ばした指を左に出来た穴に差し込む(右の指は・剣。左はさや)。この状態で、不動明王の真言を三回唱える。
「ノウマクサンマンダ バザラダンセンダ
マカロシャダ ソワタヤ
ウン タラタ カン マン」・・・・三回
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刀印(左の指もこのようにする)
この図は親指がおかしいので
左の写真のように爪を押さえる事
手刀のおさめ方
次に右の指を抜いて、左手は印のまま腰に当て、
右手の刀で九字(臨兵闘者皆陳烈在前)を唱えながら、四縦五横に切る。
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九字を戻す法(必ず、忘れないように戻しておくこと)
右の剣を元のように左のさやに収めて、
「オン アビラウンケン ソワカ」 三回
「オン キリキャラ ハラハラ
フタラン バソツ ソワカ」 三回
「オン バザラド シャコク」 一回
これらを唱え終わったら、「弾指(たんじ)」(指をはじき鳴らすこと)する。
この後、右の剣を抜いて、印を終る。
2、九字は邪を払うための簡単な技法です。
上記のように手で刀を模した印「刀印」を作り、その印によって空間を
「臨兵闘者皆陳烈在前」(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)の掛け声と
ともに縦横に「切り」邪を払う。
この際、刀印があたかも真剣のような光をもって、邪を切り倒すのを強く
念じなければならない。
刀印は邪を払う破邪の真剣です。
これを強く感じ、空間を気合とともに切り裂くとき、邪悪な気配は退散し、清浄な光の筋がそこに神聖な気配を漂わせるのである。
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