花崎さんによると、3月下旬、自宅近くで淡竹が道路に倒れていたため伐採に向かった。すると緑と薄茶色の花を見つけた。「珍しい」と自宅裏の竹林に向かうと、ほとんどの淡竹が開花していた。
地区内や平沢ダム、隣の西畑地区でも淡竹が花を持っており、孟宗竹や真竹、布袋竹は葉っぱだけだった。
地区周辺は粘土質な土壌の効果で、えぐみやあくの少ない上質なタケノコが採れる。花崎さん方では、花崎さんの父や祖父が地下茎を植栽して竹林の面積を広げ、現在は自家消費している。花崎さんは幼い頃、竹の開花を見た記憶があるといい、その後、ほとんどが枯れてしまったという。「竹の花が咲くと飢饉(ききん)になると聞いてきた」と凶事の前触れかもしれないと心配する。
町内では孟宗竹のタケノコが4月ごろをピークに出荷され、5月ごろに淡竹のシーズンを迎える。花崎さんは「先人が苦労して増やした淡竹がなくなり、特産の一つが消えてしまう」と頭を抱えていた。