未来は今
アメリカでの反乱において、キッカケとなったとされているのは、ジョージ・フロイドという男性が、警官から暴力を受けて亡くなったという話ですが、これを聞いた時に、「フロイドといえば…」と思い出したのが、イギリスのロックバンドのピンク・フロイドであり、その 1980年頃の「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」という曲でした。
実は、私は、新型コロナウイルス対策として日本を含む世界中で、マスクやソーシャルディスタンスといったものが義務づけられていく中で、この「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」のプロモーションビデオをたまに思い出していました。
厳格に管理された学校の子どもたちの様子が描かれたこの歌そしてこのプロモでは、最初のほうは普通に「個別の顔」を持っている子どもたちが、プロモが進行する中で、「全員マスクをかぶった無表情の存在」となり、ソーシャルディスタンスのごとく整列して歩き続ける姿が描かれます。
ピンク・フロイド / アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(1979年)プロモより
・Another Brick In The Wall / Pink Floyd
このビデオでは、子どもが従順に従っていく結果、「命令されるがままに自ら死に向かうことも疑問に思わなくなる」というようなことが描かれています。
マスクをつけてミンチマシンのような機械に整列して飛び込んでいく子どもたち
・Another Brick In The Wall / Pink Floyd
歌は、
僕たちに教育なんて要らない
思想の支配も必要ない
教師よ 子どもたちに構うな
というフレーズで始まりますが、まあ現実というのはすごいもので、こんな光景は絵空事だと思っていましたけれど、今「何となく、こんな感じの日常を見ている」ということになっています。
私の地域では、中学や高校などが再開され始めているようで、私の家の周囲でも、多くの中学生や高校生が登校や下校をしています。
授業時間を短縮しているためか、とても早い時間に下校している姿を見かけますが、「一斉に整列して、全員がマスクをつけている」という光景に出くわします。
「ザ・ウォールだなあ」
と思いながら、その光景を毎日眺めています。
せめては、「ミンチマシンに飛び込め」と言われて、素直に飛び込むようにだけはなってほしくないものですが、なんというか、最近は、1970年代頃に好きで聴いていた音楽の内容が次々と実現していっているような世界で、それはそれで個人的には刺激的ともいえるのかもしれません。
1970年代に私が最も好きだったバンドのひとつにザ・ストラングラーズという英国のバンドがありますが、当時 16歳だった私が、偶然ラジオで流れている曲を聴いた直後に、ラジオ局に電話し、「今かかっていたのは何という曲ですか?」と、問い合わせて曲名とバンド名を知ったものでした。
すぐにアルバムを買いに行き、それは「ブラック・アンド・ホワイト」というアルバムで、最も気に入った曲は、 B面(当時はレコードの時代)の一曲目の Curfew (夜間外出禁止令)というタイトルの曲でした。
そこではボーカルが、
「 Stay in your home (家にとどまりなさい)」
と叫び続け、そして、
「昼が夜に変わり、新しい種類の自由の時代が始まった。しかし彼らが言っていることは本当なのか?」
というような歌詞に続きます。
その次の 1979年のアルバムの好きな曲では、ボーカルが、「ヒトの遺伝子の核の情報を書き換えて遊ぶゲームを止めなければならない」とシャウトし(Genetix)、アメリカのロサンゼルスでは「人々がロボットのようになり、そのままロスは死んでいった」と歌い(Dead Loss Angels)、他にもいろいろな曲を思い出しますと、「まるで今だなあ」と、しみじみと思います。
翌年の 1980年には、ストラングラーズは「檻の中で私たち人類の新しい日常が始まった」という内容のシングルレコードも出していました(Bear Cage)。
この、
「檻の中での新しい日常」
というのも、今、とても実感できます。
ところで、この 40年前のシングル盤を見てみましたら、ジャケットは、「マスクをしたクマさん」でした(笑)。
ストラングラーズ - Bear Cage (熊の檻) / 1980年
・The Stranglers / Bear Cage (1980)
でも、このクマさんがしているくらいのスカスカのマスクなら、先日の以下の記事で書きましたような「低酸素」「ウイルスの再吸入」「ウイルスが嗅覚神経から脳に入る」ことなどを避けられそうですので、ナイスなマスクだと思います。
本当のカタストロフが発生する前に私たちは特に小さな子どもたちへの消毒剤の乱用とマスクの強制装着の観念と慣行を捨てなければならない
In Deep 2020/06/04
さて、このように、多くの人々が予測していた未来が今来ているわけですが、その「未来の今」の社会では、アメリカの CDC (アメリカ疾病予防管理センター)の世論調査が、ものすごい数値を示していました。それは、
「ロックダウン期間中にアメリカの3分の1の人たちがうつ病を発症していた」
というものでした。
ロックダウン期間中に広がった悪夢
以下は、アメリカ CDC のアメリカ国立健康統計センターによる、うつ病に関しての世論調査の結果の一部です。特に若い世代で驚異的なうつ病の発症率となっていることがわかります。
・CDC / National Center for Health Statistics
以前、以下の記事で、ロックダウンによりアメリカを含む世界中の多くの人たちの精神衛生の状態が非常に悪くなっていることを取り上げました。
ロックダウンが長期化する中、アメリカ人の精神衛生状態の危機が本格化し、薬物処方量も歴史的な増加。そして今後「かつて経験したことのない自殺の大波」が来ると専門家たちが警告
In Deep 2020/05/11
しかし、今回の CDC の報告は、上の記事で書かせていただいた以上に、アメリカの人々の精神衛生の状態が悪化していることを示します。
上の表は、4月23日から 5月26日までの1週間ごとの数値が示されていますが、最も悪い数値の週は、18歳- 29歳の若年層で「 42%がうつ病の症状を示した」とあり、非常に深刻な状態となっていることが示されます。
それに関しての記事をご紹介します。
CDCの調査局がアメリカ人の3分の1が臨床的うつ病の症状を示していることを見出す中、抗うつ剤不足が深刻に
Zoloft Shortage Strikes As Census Bureau Finds One Third Of Americans Now Show Signs Of Clinical Depression
zerohedge.com 2020/06/08
新型コロナウイルスのパンデミックと、それに伴う経済クラッシュの結果として、過去 10週間(4月-6月初旬)に 4000万件の失業が引き起こされた結果、アメリカ人の 3分の 1が臨床的不安とうつ病の症状を示していることが CDC 健康統計センターの調査で判明した。
これは、数ヶ月にわたるロックダウンがアメリカ人に与えた心理的被害の状況を明確に示すものとしては、最も包括的な徴候といえる。
米ワシントンポスト紙によると、調査局は 5月7日から、アメリカの 100万世帯と連絡を取り、約 4万2000世帯が回答した。調査は約 20分で、うつ病や不安についていくつかの質問がなされた。
回答した人たちは、ロックダウンの中の精神状態の推移を述べたが、多くの人々が孤立と孤独の不安、ウイルスへの恐れ、そして失業の問題にさらされていた。
メンタルヘルスについて尋ねると、回答者の 24%が重篤なうつ病の症状を示し、 30%が不安症状を示した。
この最新の調査結果では、アメリカでうつ病の症状を示す人たちが、コロナ以前の世界から大幅に増加したことが示され、2014年の調査以降 2倍になった。そして、ロックダウン中にアメリカ人のメンタルヘルスが急速に悪化したことが示唆されている。
うつ病と不安の発生率が最も高かったのは、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人)、女性、貧困層だった。
ロックダウンの心理的犠牲は、富裕層よりも、低所得の人々をはるかに強く襲い、すでに極端な富の不平等を経験していた下位 90%の人々の精神的健康を悪化させている。
米食品医薬品局は最近、アメリカで最も広く処方されている抗うつ薬の 1つであるゾロフト(Zoloft ※いわゆる SSRI 抗うつ薬のひとつ)が過去数か月で供給不足に陥ったと報告した。
ロックダウン中に需要が急増したのは、調査局が示したように、アメリカ人が前例のないメンタルヘルス危機を経験していることが主な原因だ。
ブルームバーグは、3月のゾロフトの処方量が前年比 12%増の 490万処方となりで、アメリカでこれまでで最も多い処方量であると報じた。
エクスプレス・スクリプツ (Express Scripts / アメリカ最大の薬局利益管理組織団体)は、最近の報告で以下のように述べた。
アメリカ人の多くが、精神的な苦痛のと不安から逃れるために薬物療法に目を向けているが、このような過剰な薬の使用は、私たちアメリカでの精神的健康に及ぼすかもしれない深刻な影響を示している。
このような数値が示す先の懸念として、以前、以下のように報じたことがある。
多くのアメリカ人たちが感じている強い不安と恐怖は、ウイルス危機と経済の崩壊が悪化し続けていく中で、アメリカ社会の不安定性につながる可能性がある。
これらの不安定性のいくつかには、「自殺の連鎖」「抗議」「暴力犯罪の増加」、そして「薬物の過剰摂取の増加」が含まれる可能性がある。
これらの懸念は、アメリカの暴動を含めて、現実化しつつある。
ここまでです。
なお、ここでは「うつ病の増加」について述べられていますが、うつ病を含む精神衛生状態は、「腸内細菌環境の状態」に左右されている可能性があることについては、過去記事「自殺の多くは腸内環境の改善で防ぐことができる可能性」など複数で述べさせていただいています。
可能性というか、ほぼ間違いないことだと思われます。
うつ病発症をコントロールしているのが「2種類の腸内細菌」であることを、ベルギーの大学の研究者たちが突き止めたのです。
そして、それとはまた別の研究ですが、腸内細菌環境を最も活性化させる、あるいは腸内細菌環境の状態を良くするための「行動原則は何か」というと、
「太陽光に当たること」
なのです。
以下の過去記事で述べています。
もっと太陽の光を浴びましょう : カナダの研究で「太陽の紫外線は腸内細菌環境に極めて良い状態を与える」ことが判明。難病の治療にも応用できる可能性
In Deep 2019/10/31
これは、ビタミンD との関係なのですが、太陽からの紫外線を浴びた被験者と「サプリメントのビタミンDを服用した被験者」では、有用な腸内細菌の数が全然違っていたのです。いくらビタミンDをサプリメントでとっても、少なくとも腸内細菌環境に対しては「あまり意味がない」ことがわかり、ビタミンDを適切に摂取するためには、やはり太陽光に当たるしかないようなのですね。
つまり、ロックダウンやステイホーム命令で、「太陽に当たらない生活が続くような状態」が精神衛生に良いわけがないのです。
メルマガなどでも何度か記させていただいていますが、何らかの感染症が大流行していたり、あるいはパンデミック下の理想的な生活というのは、以下のようになります。
・十分な太陽光を浴びる
・過剰なストレスを避ける
・病原体に対しての恐れを抱かない
・適度な人間関係を保ち、孤独に陥らない
・なるべく笑いを絶やさない ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
・適切な栄養
・十分な睡眠
・若い人なら恋をする (恋愛はとても免疫を高めることが各国の研究でわかっています)
・お年寄りたちはドンマイ(これはなんだよ)
いやいや、私もそろそろ高齢者ですけれど、私たちのようなものはもういいのです。
若い人たちを守らなければならない。
仮に社会がいつの日か再生することがあるにしても、それを担うのは私たちなどではなく、若い人たちです。
若い人たちこそがいつか真実に気づかなければならない。
そういえば、先ほどのピンク・フロイドの「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」の映像は、「子どもたちが目覚める」ところで終わります。
支配されることをやめ、自ら生きることを選択し、そして彼らは学校を破壊し、旅立ちます。
・Another Brick In The Wall / Pink Floyd
破壊したりするようなことはしなくても、若い人たちには「自分に課されているスタイルに合理的な理由があるのかどうか」を考えていただきたいとは思います。
もしそこに矛盾を感じたならば、世界とご自分との関係、そして「自分が人間として生きている理由」に気づかれてほしいとも思います。
お年寄りは……ドンマイ(またかよ)。