アメリカ疾病予防管理センターが発表した今シーズンの米国のインフルエンザの状況
・CDC
なぜアメリカだけインフルエンザウイルスが凶悪化している?
中国の新型ウイルスの確定患者数は、昨日の同じ頃より約 1000人増え、2000人を超えました。
2020年1月26日午後1時の新型ウイルスの患者数と死者数
・scmp.com
わりと世界中が、この中国の新型ウイルスの推移を気にしているのですけれど、しかし、アメリカも感染症で大変なことなっていることを数日前に知りました。
実は、アメリカでは「史上最悪規模で季節性インフルエンザが流行している」のです。
下の地図は、現在のアメリカでのインフルエンザの流行状況で、最も赤い部分が大流行の地域です。
2020年1月18日の米国のインフルエンザ感染状況
・CDC
冒頭に示した数字は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、1月24日にリリースした最新の「アメリカのインフルエンザの流行」についての数値です。
CDC は、アメリカ国民全体の 8.5%にあたる 2700万人の疾病に関しての監視ネットワークを持っていまして、冒頭の数字はそこからの推定値で、そのため数字に幅がありますが、ある程度実体に沿った数値となっていると思われます。
この CDC の発表した数値から、それぞれ「最大値」をとった場合、以下のようなことになっていることになります。
2019年10月1日から2020年1月18日までの今シーズンの米国のインフルエンザを巡る状況
[インフルエンザを発症した人] 2100万人
[インフルエンザで受診した人] 1000万人
[インフルエンザで入院した人] 25万人
[インフルエンザで死亡した人] 2万人
2000万人の発症と、2万人の死者というのは、すさまじいものです。
通常の場合ですと、アメリカでの「実際の」インフルエンザの死者数は、CDC 管轄下にあるアメリカ国家重要統計機関のデータでは、年間 500人程度ですので、本当に死者が 2万人だとすれば、大変な数です。
しかも、「アメリカのインフルエンザシーズンはまだ終わっていない」のです。つまり、今後さらに感染者が増える可能性が高いと思われます。
今シーズンのアメリカのインフルエンザの大流行にある悲劇性としては、「子どもで亡くなる事例が多い」ということがあります。
基本的には、季節性のインフルエンザでは、重症化したり、死に至るケースというのは、ほとんどが高齢者か基礎疾患を持つ人たちであり、一般的な場合、健康な若い人たちは、インフルエンザが重症化することはないものなのです。
ところが、今年のアメリカのインフルエンザは、数多くの子どもたちが犠牲になっています。12月28日から 1月19日までに、少なくとも 27人の子どもがインフルエンザで亡くなったと報じられています。
この数は、アメリカでインフルエンザ流行の記録がとられて以来、過去最大の数値だそうです。
実は、アメリカの季節性インフルエンザは、最近「毎年、凶悪化していっている」という事実があり、2017年頃からは、「もはや毒性が季節性インフルエンザのそれではない」というような感じになっています。
他の国や地域でそんなにインフルエンザがひどいことになっているとはあまり聞かないということもあり、「なぜアメリカだけが?」というようにも思います。
中国では新型ウイルスが拡大し、アメリカでは感染力と病原性が高い奇妙なインフルエンザが流行しており、病気の時代はさらに進行中のようです。