米大統領選とシンクロしてあらわれた黒点活動領域AR2781
太陽活動と「社会の暴力」には、非常に強い相関関係があることは、この 10年間くらい、たまに記事にさせていただいていました。こちらのリンクに記事一覧などがあります。
簡単にいえば、太陽活動が強い時期(太陽黒点が多い時)には、社会暴力、戦争、革命などが起きやすいという傾向が歴史的にはっきりとしているのですが、太陽といえば、前回の第24太陽活動周期(サイクル24)が終わり、そして以下の記事で取り上げましたように、今年 9月に NASA と NOAA (アメリカ海洋大気庁)が、
「太陽活動サイクル25が始まった」
と正式に発表しました。
新しい太陽活動周期「サイクル25」が始まったとNASAとNOAAが公式に発表
投稿日:2020年9月16日
前回のサイクル24は「歴史的に弱い太陽活動期」だったのですが、今回のサイクル25も、それと同じようなものとなると専門家たちは予測しています。
つまり、非常に弱い太陽活動の期間が 11年ほど続くという予測でおおむね一致していまして、その「弱い太陽活動」という傾向そのものは、そう簡単に覆らないとは思いますけれど、そのサイクルの中で「強い時」と「弱い時」が日々繰り返されるということになっていくのだろうとは思います。
実際、9月に新しい太陽活動サイクル25が始まった後も、黒点活動は弱いままで進んでいたのですが、「アメリカ大統領選の日」を境に、やや表情が変わったのです。
大統領選のあった 11月3日、太陽の東側から、
「サイクル25で最大の黒点が回り込んできている」
ことが観測されました。
黒点 AR2781 とナンバリングされたその黒点活動領域には現在、15個の黒点が見出されています。
以下は NASA の太陽観測衛星の撮影した動画を GIF にしたものです。
小さなもののように見えますけれど、この黒点活動領域は地球の何十倍の面積となっているようです。以下はこの黒点群と地球の大きさを比較したものです。
黒点AR2781と地球の大きさの比較
・Spaceweather
スペースウェザーによれば、この巨大黒点群は今後 10日ほどは地球に面することになり、その間に比較的強い太陽フレアが発生する可能性があるとしています。
以下は、スペースウェザーの記事です。
巨大な黒点が地球に向かっている
新しく出現した黒点 AR2781 が拡大しており、地球の方向に回ってきている。
黒点は、太陽の自転によって横切っていくため、今後 10日間程度は、地球に面して移動する。この黒点のサイズに基づけば、AR2781 は強力な太陽フレアの発生源となる可能性がある。しかし、これまでのところ活動は静かで、2つの小さな Cクラスのフレアを発生させただけだ。
AR2781は、新しい太陽周期サイクル25で最大の黒点となる。(Spaceweather)
新しい太陽活動が始まったのですから、黒点が少しずつ出てくること自体は当然のことなのですが、今回驚いたのは、それまでずっと黒点がほとんど出ない状態が続いていた中で、
「アメリカ大統領選に合わせたように、この巨大黒点が突然出てきたこと」
でした。
今回のアメリカ大統領選は、背景がとても複雑、かつ非常に混沌としていて、今回はそのことについて書くつもりはないですが、どちらの候補が勝利しても、アメリカが混乱に陥ることは避けられないような感じとなっているようです。
今日(11月5日)の時点では、アルツハイマー系候補のほうが優勢となっていますが、いろいろな意味で先行きはわかりません。
多くのアメリカの専門家たちが「場合によっては、長く続くアメリカの混乱期が始まる」というようなことを述べています。
金融機関ラボバンクのシニア米国ストラテジストは、「選挙メルトダウン」という言葉をつかって、混乱は確実に 2021年まで続くと述べています。
ロシアの共産党系メディア「プラウダ」は、以下のようなタイトルの記事を載せたりもしていました。
・バイデンが勝った場合、ロシアは武器を手に取り、大きな戦いの準備をする必要がある
If Biden wins, Russia will need to take up arms and get ready for major fight (Pravda 2020/11/03)
そういういろいろな混沌の「芽」がある大統領選のまさにその時に「巨大黒点が出現した」のでした。
この黒点 AR2781 が、今後大きな太陽フレアを発生させるかどうかは、結局は過ぎてみなければ何ともいえないのですけれど、「 11月3日に急に太陽活動が活発になった」という感じがあるのは事実です。
今後もこの黒点のサイズが発達し続けた場合は、巨大な太陽フレア発生の可能性もそれなりに高くなると思われますが、しかし、フレアが発生してもしなくとも、「強い太陽活動」が一時的に蘇っていることは確かです。
さすがに、このまま急速に蘇り続けるということはないと思うのですが、太陽活動は、地球の人間社会に確実に影響することは確かですので、この太陽黒点 AR 2781 が、太陽の裏側に去って行く 11月中旬までは「不穏」と「暴力」のキーワードが高くなると思われます。
なお、太陽活動と社会について、過去記事を見ていましたら、
「ああそうか……このパンデミックへの強行な各国の対策は 2020年だから起き得たんだ……」
と今にして気付きました。
長い間、太陽活動と人間社会のことを調べているのに、自分がその渦中に叩き込まれた時には、忘れてしまうようです。
そのことに少しふれさせていただきます。
2020年のような弱い太陽活動の際の社会
以下の 2019年の記事に、アレクサンドル・チジェフスキー博士(20世紀の初頭に太陽活動と人間社会の相関性を研究したロシア人科学者)の研究について書かれていた海外のメディア記事をご紹介したことがあります。
戦争は? 革命は? … 次の新しい太陽活動「サイクル25」から考える2026年までの社会の動向
投稿日:2019年5月20日
そこでご紹介したこの記事の中に、2020年のように「太陽活動が著しく低い時」の社会の特徴として、チジェフスキー博士の論文にある以下の表現があったのです。
「大衆は、政治指導者などからコントロールされやすい。特に、表現の自由、自己責任、言論の自由などについて操作をされやすくなる。合理性よりも、感情や利他主義に訴えられると、動かされやすい」 (Alexander Chizhevsky)
コントロール……表現の自由の操作……言論の自由の操作……。
まさに今、ですね。
なお、このような最も弱い太陽活動の時期から「太陽活動が大きくなっていく(黒点が増えていく)時期」、これはつまりこれから数年間ということなんですが、その時期に、社会はどのようになるかといいますと、チジェフスキー博士の論文には以下のようにあります。
黒点増加期の特徴 / アレクサンドル・チジェフスキー博士の論文より
この時期の特徴:
・新しい指導者等が出現して大衆は次第に団結する
・政治的、軍事的な扇動が行われる
・新しい方針や計画が試される
・報道機関の影響力の拡大
・政治的、軍事的な問題が持ち上がり、大衆はそれに強い関心をもつようになる
・大衆は神経質でいらいらしているため、この時期の後期になると社会は次第に荒れてくる
このような期間がどのくらい続くかは太陽活動の状況、黒点の活動、あるいは社会的な要因に依存して変動する。
また、この時期に多く見られる政治的、軍事的な現象として、共通の敵に対処するためにいくつかの国々が新しい安全保障条約を締結したり、また、異なった政治団体が共通の敵に対処するために団結して一つになるような現象がある。
この時期には以下の三つの特徴が顕著になる。
1. 大衆を引きつける新しい思想や考え方の出現
2. そのような思想による新たなグループ分け
3. 思想的な傾向の異なるさまざまな集団が結集することができる統一した思想の登場
2020年は、ひたすら指導者たちから「コントロールされていただけの大衆」ですけれど、今後、黒点の増加と共に、コントロールされていただけの大衆というところから、新たな段階に入るようです。
上には、
> 大衆は神経質でいらいらしているため、この時期の後期になると社会は次第に荒れてくる
とありますが、「大衆が神経質でいらいらしている」状態は、すでに欧米の多くの国ではそこに達していると思われますので、荒れ出すと、すぐに相当な状態になっていく可能性があるのかもしれません。
ヨーロッパも非常に荒れはじめていまして、これについては他で取り上げたいと思いますが、今の世界の状態で太陽活動が急速に激しくなっていった場合、世界中争いと敵対ばかりが支配することになってしまうのかもしれません。
少し前の記事「みずがめ座の時代と悪魔的時代の同居のときに」でも、そこでご紹介したロシア人占星術師の方が、「これから荒れる」ことについて言及していましたけれど、現実的な側面からも、他の要素からも、暴力と混乱は避けられない局面に私たちはいるのかもしれません。
そこに太陽に「突然」巨大黒点が出現した。
仮に今後の社会が、太陽活動に関してのチジェフスキー博士の研究の通りになっていくのだとすれば、 2026年あたりを頂点とした暴力的な時代が続いていく可能性があります。
◎対談本が発売されました。こちらの記事もご参照下されば幸いです。