年金としてのアンティーク・コイン
「絶対に儲かりますよ」というのは、人を騙すことを生業(なりわい)とする詐欺師の常套文句です。
しかし最近、私は酒の席になると、そんなことを言いまくっています。
では私は、詐欺師に鞍替えしたのでしょうか。
いいえ違います。
私は、さえないうらぶれおじさんではありますが、詐欺師ではありません。
このところ私は、お金の話をする機会が増えました。
それは私の周りの人達が定年を迎え、老後の資産運用に悩むことが増えたからです。先日も知り合いから、(大手都銀の)M銀行から、個人国債を買うように勧誘を受けていると相談がありました。私から言わせると、悩む以前の問題です。
先進国中で、GDP比で国債発行残高が断トツで1位の日本の国債など、最初から選択肢にすら入りません。そもそも国債は、金利と裏腹の関係にあり、マイナス金利すら発生した日本では、国債の値段はバブル中のバブルです。投資の基本は安いときに買って高いときに売るというものですが、一番高いときに買うという発想が私には理解できません。
それは一部上場企業に長年勤め、エリートサラリーマン(?)として恵まれた立場で、生臭いお金に関する苦労がなかったということかもしれません(しかし、こうしたことはネットで調べれば数分でわかることです)。
私が驚くのは、そうした人々のお金に対する知識の無さです。
世の中の詐欺師は、そうした人々に「絶対に儲かりますよ・・・」と囁いて騙していくのでしょう、きっと。
前回の記事で、私は年金がなく貧乏だと言いました(老後は高い確率で孤独死するだろうと思っています)。でも年金に加入していないのはお金が無かっただけでなく、日本政府の財政に疑問を持っている面もあるのです。今回の記事のテーマは年金財政ではないので触れませんが、単純に言えば、私は日本の年金制度が持続可能だとは思っていないのです。
それゆえ私は、年金は人(行政)に頼るのではなく、自分でなんとかすることを考えました。
それがアンティーク・コインだったのです。
以前アンティーク・コインに関する記事を書いたことがあるので、興味のある方は読んでみて下さい。
http://motoyama.world.coocan.jp/info_9.htm#info_917
最近は若い方も資産運用に興味があるようで、私がアンティーク・コインの話をすると、大変興味を持たれることがあります。若い世代の年金離れが言われて久しいですが、彼らは彼らなりに老後のことを考えていて、そうした人々のニーズがあるのかもしれません。
先日も知り合いの若い女性ですが、アンティーク・コインの話をしたら、実際に私のコレクションを見たいと言われます。私は貧乏なので本当にささやかな量のコレクションしかない言ったのですが、それでも見たいそうです。やはり、「絶対に儲かる」というのは魔法の言葉だったのかもしれません。
では、「絶対に儲かる」ということを実際にデータで示したいと思います。
以下は、『カネはやっぱりアンティーク・コインにぶちこめ!』(加治将一著、東洋経済)、p33から抜粋したグラフです。
毎年アメリカで発表される「THE KNIGHT FRANK
LUXURY INVESTMENT INDEX」といわれるもので、投資分野の番付表のようなものだそうです。
2013年のもので少し古いですが、毎年1位がアンティーク・コインだといいます。以下、2位がクラシック・カー、3位が切手、4位が絵画と続きます。
注目すべきは、2008年のリーマンショックの時です(上記グラフで縦線が入っている部分です)。
100年に一度と言われた経済・金融パニックが起きたにもかかわらず、アンティーク・コインは微動だにせず、もくもくと上昇を続けています。
このグラフを見れば、「絶対に儲かる」というのが嘘ではないことを理解していただけると思います。
その変動率は、1年でなんと25%です。
5年間で93%、10年間で248%というのですから、5年で倍、10年で2.5倍に増える計算になります。
株やFXで一攫千金というものではなく、コンスタントに地道に上昇を続けます。ですから年金として、最適だと私は思っているのです。
なぜそんなことが起こるのか。
理由は単純です。
あらゆる商品は需要と供給のバランスで値段が決まりますが、アンティーク・コインは世界で300万人と言われる金持ちのコレクター(需要)がいるにもかかわらず、アンティークなので新規の供給がないのです。
では、日本にアンティーク・コインのブームをもたらした、第一人者(?)の加治将一氏の本『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済)から抜粋して紹介します。
・・・<『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』、p1〜p2から抜粋開始>・・・
プロローグ −−− 年金消滅でもへッチャラなのはなぜなのか
おカネはおカネのままだと、10年たっても20年たっても増えません。
しかしアンティーク・コインに変えておけば、どんどん増えます。
空気のように気がつかないのですがジワジワと価格が増し、10年後に2倍、3倍というのはぜんぜん珍しくない。努力でつかんだわけではないのに、それこそ名もなき日常に、幸せいっぱいの実感を体現できるはずです。
のっけから、いきなり特別なことを言われても、ピンとこないかもしれませんね。
では、サンプルとして今年50歳になるサラリーマンA氏のことを話します。
若い時から5万円のおこづかいで少し、また少しと毎月コインを買い集めました。
収集歴は約25年、これまでの投入額は、大づかみで1500万円ほどといったところでしょうか。
つい数年前、コレクションの半分を売りました。いくらになったと思います?
なんと1億8000万円という数字を叩き出したのです。
想像外の衝撃ではありませんか?
アンティーク・コインを集めるテクニックはなにもいりません。ただそれだけで、サラリーマンのA氏をたちまち億万長者に押し上げたのです。
これだけあれば、年金など目ではありませんね。だれも知らない投資の大穴です。
・・・<抜粋終了>・・・・
もう一つ、体験談を紹介します。
・・・<『カネはやっぱりアンティーク・コインにぶちこめ!』、p40〜p41から抜粋開始>・・・
コレクター@の証言
S・Tさん 56歳 東京在住 教師 収集暦29年
教師になってしばらくし、デパートのコイン売場から買いました。
まだ給料が安かったので、数千円の手ごろな日本コインからはじめたのですが、すぐヨーロッパ・コインに移りました。
世界史に興味があったことと、コインに描かれている人の顔が面白くてすぐにのめり込んだのです。
想像してみてください。2500年前の人の顔です。彼らが触っていたものを、直接手に取って触れられるのです。歴史が手の中に収まる、というのは得も言えぬときめきがあって、独身の気安さもあり、手当たり次第に買いました。
買っているうちに一国のコインに凝りはじめました。英国を集め、一定ていどそろって完了すると、今度はオーストリアという具合にです。
17〜19世紀のフランス物は、自慢できるほどそろえました。
おカネ儲けはぜんぜん頭になかったのですが、19年くらい前からでしょうか、外国コインを日本人のコレクターがさかんに買うようになったので、ためしに私もオークションに出品してみました。
するとびっくりするような値段で売れたのです。
一番高く売れたのは、東京で出品したロシアの1.5ルーブル(ニコライ一世の肖像)です。
1998年に70万円で買った1枚ですが、なんと1100万円、15倍で売れました。
たった6万円で買ったアレキサンドル一世の1ルーブルが、70万円で売れたのもその時です。
有頂天というより、驚きのほうが多く、心を強く揺さぶられたその時の記憶は、つい昨日の出来事のように覚えています。
コイン投資はだれでもできます。ただ一つだけアドバイスするとすれば成功するかどうかは、取引するディーラー次第だ、というのが私の実感です。
品物をちゃんと鑑定し、適正価格で売ってくれる正直なディーラーと付き合うことです。
◎自分にとってコインとは?
人生を楽しませてくれる知的趣味。それと年金の代わりです。
これまで買った枚数は、3000枚ほどでしょうか、5年前に半分売り、5500万円ほど手にしております。
・・・<抜粋終了>・・・・
最初に登場したA氏も次に紹介した教師も、普通の勤め人です。
最初はけっして金持ちではありませんでした。しかし、アンティーク・コインを買い集めたおかげで億単位のお金を手にすることができたのです。
これが示すことは、アンティーク・コインはけっしてお金持ちの道楽ではないということです。
私のような、お金持ちとは無縁で一般の人より貧乏な人間でも、アンティーク・コインは買えます。もちろん資金力がないので、本当にささやかなコレクションですが、私は一歩を踏み出したと言えます。
次に紹介するのは、預金がないけどアンティーク・コインを始めたいという26才の職業ウェイトレスの女性の相談に、加治氏が答えた記事です。
『カネはやっぱりアンティーク・コインにぶちこめ!』(加治将一著、東洋経済)から抜粋して紹介します。
本では実際のコインが写真入りで紹介されているのですが、その部分は割愛させていただきました。
・・・<『カネはやっぱりアンティーク・コインにぶちこめ!』、p60〜p67から抜粋開始>・・・
今はほとんど預金がありません。
コインでの資産の増やし方を教えてください
T・M ♀ 26歳 ウェイトレス 宮城
私は、レストランに勤務する26歳の乙女(笑)です。
もともと私の家は、恥ずかしくなるほどの貧乏で、この先、お金持ちと結婚できればそれに越したことはないのですが、とても無理そうなので、自分でお金を貯めようと思います。
そこで質問です。
お小遣いが、月5万円です。
で、まともにそれを預金に回せば10年間で600万円貯まりますが、その時はもう36歳です。
36歳で600万円じゃ満足できません。
欲張り目標は、2000万円です。
無茶な望みかもしれませんが、なんとか助けてください。
アンサー
貧乏は屈辱ではありません。そして貧乏は固定されたものではないのです。
リッチへの入口はそこかしこにあり、365日ドアは開きっ放しで、あなたを待っています。
大切なのは、今あなたがどこにいるかではなく、「どの方向」に歩くかです。その気になって一歩踏み出せばすぐコイン長者になれるのです。が、人はなかなか決断できません。
しかしあなたはこうして今、汚れのない夢を持って加治に質問しているわけですから、すでに長者ゾーン内におります。
このことをまず、しっかりと感じながらお開きください。
さて1カ月の予算が5万円となれば、初陣に選択の余地がありません。
射程範囲内の、ぴったんこアンティーク・コインを毎月1枚ずつ買い集めます。
フランスの20フラン(ナポレオン三世など)
ドイツの20マルク(ヴィルヘルム二世など)
イタリアの20リレ(ヴィットリオ・エマニュエーレ二世など)
スイスの20フラン(女神など二種類ほど)
ずらりと並んだ6グラムから7グラムのかわいいコイン顔見世興行、2013年12月現在で価格はだいたい5万円前後です(グレードの状態で幅はある)。
2年間買い進めば、24枚になります。
さてこれからが、加治のシミュレーションです。
金相場が一本調子で値上がりしなくとも、コイン人気は止まらないので2年後24枚で150万円にはなるはずです。
予想では、これからも暗く不安定な世界が続き、値上がりの一本槍、そうなれば24枚で200万円くらいだと見立てていますが、まあ、あえて低く抑え150万円とします。
で、24枚まとめて処分です。
いいですか、2年後にぜーんぶ売っちまうのですゾ!
150万円を手にした加治はそのすべてを、狙いを定めた一枚のコインに全額ぶち込む。
たとえばイタリアのヴィットリオ・エマニュエーレ三世、1912年の100リレです。
150万円。
ワォー! 入手した100リレは机の中に大切に仕舞っておき、これはこれとして別にまたシコシコと前出の5万円おっと6万円くらいに値上がっていますね。金貨を毎月買い溜めます。
机の中の100リレ・コインの値上がりと、毎月加算される6万円。役割分担の二頭立てですから蓄財力が違います。
で、また2年後です。
さてさて、100リレ金貨をおもむろに机の中から出して、売りにかける。
加治の予想では、コインの人気は今以上に高く、おそらく100リレの落札価格はズバリ250万円。
えっ、そんなに? と思うかもしれませんが、100万〜200万円のコインは稼ぎ頭なのですよ。
この時、24枚も売却します。
こちらの方も、さらなる値上がりで200万円は下らない。
合算すると450万円です。
つまり4年後には、たんなる銀行預金では月5万円×4年=240万円ですが、加治式投資法だと心血を注がなくたって2倍近くの450万円に増えている勘定になります。
そんなに上手くいくかって?
投資は不確実下の選択ですが、神の化身は見たこともないマジックを披露してくれます。むろん、加治の個人的シミュレーションですが、これでもまだ控えめなつもりです。
ここであなたは、小金持ちゾーンに入ります。
どういうことかといいますと、いってみれば今までのゼロとはなにもかもが違う新世界でありまして、450万円を自分の手で作ったという自己承認欲求が満たされ、幸福感、達成感にみまわれます。
おカネを持った人間が、次に何を望むか?
そう、さらなるおカネです。
財産が増えれば増えるほど、自分に対するサービス精神が止まらない「神聖コイン共和国」の住民になっちまったあなた。さて次なる一手は?
手持ちの450万円でまたオーラを放つ1枚を買います。
あとは売るだけです。むろんその時は買い値に自分の儲け分を足して売るのですゾ。それを忘れるアホはいないと思いますが、売ったおカネでまた次の一枚を買う。
売っては買い、売っては買う。幸福のスパイラルはとどまるところを知らず、これを繰り返しているうちに気がつけば夢と見紛うほどのコイン長者になっています。
最初の1000万円までは6年で到達、というのが加治の読みです。
計算では複利が福利を呼び、35歳で資産は2500万円になり、あなたの目標金額を軽ーくクリアー。その歳でこれだけ持てば、心から生きているって素晴らしいと感じるはずです。
しかし、そんなものじゃありません。
その後は加速度が増すというか、一足飛びというか、不況を尻目に資産はどんどん増え続け、46歳で1億円、あとは持っているだけで、2億、3億……リッチがばれて高級車や宝石のセールス電話がジャンジャン鳴っても知らないゾォー状態になってくる。
おいおい、そりゃなんでも自信過剰の言い過ぎだろう、と思うかもしれません。しかし、これほどポジティブ思考になれるのは、加治が経験者だからです。
「えっ、どうしたのあの人?」
と傍(はた)で見ている人には、おそらなにが起こっているのか分からないと思います。
なにせ、働きもせずに極上の笑顔なのですから。この醍醐味は経験者でなければ、とうてい理解できない奇跡でありましょう。
投資に王道はありません。ありませんが、今の時代、ヴィンテージもののコインだけが世界に二つとない資本財だと確信しているのです。
・・・<抜粋終了>・・・・
私は、自分のHPを通じて訪問者の方々にお金儲けの方法を伝えようなどとは思っていません。
私事ですが、このところアンティーク・コインの話をすると真剣に聞いてくれるという機会が続いたので、今回取り上げてみようと思ったにすぎません。
当HPは、胡散臭い情報が売りです。
ここに書いてある情報を元に(命の次に大切な)お金を、アンティーク・コインなどという怪しげな分野に投入するような(非常識(?)な)人はいないだろうという安心感があって書いてみました。
なにしろ狭い世界です。
良い物がでると取り合いになります。必ず値上がりするのですから当然です。
先に買われたら困りますものねぇ(ウヒヒ・・・)。
(2018年12月16日)
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